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三ツ井 誠一郎; 吉川 英樹; 徳田 誠志*; 清喜 裕二*
日本文化財科学会第28回大会研究発表要旨集, p.54 - 55, 2011/06
遺跡から出土する鉄製遺物は表面が厚い腐食生成物に被覆され原形を留めていないことが多いが、青銅製遺物は一部腐食生成物に被覆されるものの原形のまま出土する傾向がある。このような遺存状態の違いの要因としては、それぞれが埋蔵されていた環境の条件のほか、遺物そのものの材料の特性が関係しているものと考えられる。本研究では、福井県若狭町の西塚古墳より出土した鉄製及び青銅製遺物を対象に、X線CT装置を用いた腐食量(体積)の計測、ポータブルX線回折・蛍光X線分析装置を用いた遺物表面の腐食生成物の同定等を行い、同一の環境条件における材質による腐食状態の違いについて検討を行った。その結果、鉄製遺物に較べて青銅製遺物の腐食量が小さい傾向があること、酸化的な環境で形成される腐食生成物が遺物表面に存在することがわかった。青銅製遺物表面に錫石(酸化錫鉱物)が検出されたことから、青銅製遺物の腐食が錫石によって抑制された可能性が考えられる。
Lee, S.*; 松井 敏也*; 吉川 英樹
no journal, ,
出土した鉄製遺物への鉄還元細菌の影響を調べるために、遺跡から出土した鉄製遺物の顕微鏡観察,X線CT撮影を行い、出土後の鉄還元細菌による腐食挙動を検討した。遺跡の土壌に鉄還元細菌が活動していることを確認するとともに、鉄還元細菌が亀裂部で観察された鉄(III)腐食生成物を用いて活動し、鉄製遺物の腐食を進行させると推定された。